コンクリート製品を使用した新しい土木工法の提案

とりす工法

詳しくは→ とりす工法研究会

カワセミ・ヤマセミの営巣支援システム

垂直擁壁等に組み合わせる『とりす工法』

営巣支援システム「とりす工法」とは、「カワセミ」が土の露出した垂直な土手や崖(がけ)に、ある時期繰り返して使用できる安全な繁殖場所を、これから新設する垂直なプレキャストコンクリート擁壁を介して提供するものです。 対象の鳥カワセミは、ほぼ日本全国に一年を通じて住んでいます。しかし最近では河川などにおいて、カワセミの営巣場所である垂直に近い、自力で掘ることのできる土の露出した土手や崖が無くなっています。そのため、営巣場所が不足し、カワセミが繁殖する事が困難になっています。
また近年河川整備が行われ、そのような環境は大幅に縮小されています。それらの問題を解決するため、新設のコンクリート擁壁に小さな穴をあけ、その背部に営巣が出来る「土柱ブロック」をセットして、繁殖を助けるシステムをここに開発しました。それが営巣支援システム「とりす(鳥巣)工法」です。

「とりす工法」の主な特徴は次の通りです。

  • 新設されるコンクリート擁壁を利用して営巣システムを提供するため経費があまり掛らず、経済的で環境にやさしい構造物となります。また、品質管理された土柱ブロックを使用する事で、営巣部分の材料チェックや施工管理を行なわなくてよくなります。パック化された土柱ブロックを取り付けるだけで営巣部が確保されます。
  • 設置可能な擁壁は、前壁がほぼ垂直なL形擁壁や逆T擁壁また、テールアルメやジオテキスタイルなどの補強土工法です。表面がコンクリートなので、土が露出した崖の様に雨水による浸食もなく営巣機能が長期間維持されます。

コンクリート構造物が環境負荷を与えているという今までの概念から、「少しの工夫とやさしい心」で鳥の繁殖場所を提供するものです。「Pca擁壁を鳥の営巣支援システムに」を合言葉にして普及に努める所存です。 このようにこれから新設されるプレキャストコンクリート擁壁に、自然にやさしい機能を盛り込む事のできる営巣支援システム「とりす工法」をぜひ一度ご検討頂ければ幸いです。

【はじめに】
カワセミの美しい「翡翠色」

カワセミの美しい「翡翠色」

上部に巣穴が確認できます。(自然の崖)

上部に巣穴が確認できます。(自然の崖)

カワセミは日本全国に一年を通じて住んでいます。
右の写真は自然界で営巣している巣穴です。
しかし最近では河川などにおいて、カワセミの営巣場所である垂直に近い、自力で掘ることのできる土の露出した土手やがけが無くなっています。
そのため、営巣場所が不足し、多くのカワセミが繁殖する事が困難になっています。
この問題を解決するため、これから新設されるコンクリート擁壁に小さい穴をあけ、その背部に営巣する事の出来る「営巣用土柱ブロック」をセットして、繁殖を助けるシステムをここに開発しました。
写真:上部に巣穴が確認できます。(自然の崖)  カワセミの美しい「翡翠色」

【とりす工法の構造と特徴】
  1. 植物の根は、私達の想像以上に土中深く伸びてきます。営巣内に根が侵入してくるとカワセミは巣作りが出来なくなります。「とりす工法」に使用する土柱ブロックの外部は、耐対腐食性のコルゲートパイプのため、外部から植物の根が入りにくく、長期にわたり安定する事が出来ます。
  2.  土柱ブロックは営巣に必要な十分な径と長さを有しています。体積が大きい事と、前後が解放された筒構造により、過大な乾燥や雨水による浸水を防止することで、営巣に最適な状態を維持します。
  3.  土柱ブロックの土は、細かな篩(ふるい)にかけて、石や木の根、ごみ、等を除去し、営巣に最も適した土で製作したものです。そのためカワセミが自力で容易に掘削して営巣する事が出来ます。
  4.  強固な鋼製構造により、土砂等が流出すること無く、テールアルメの様な補強土壁にも使用することができます。
  5.  営巣部分の土を、現地で篩にかけたり、敷き均し、転圧作業を行わなくて良いため、天候に左右されません。そのため転圧不足による致命的な施工ミス、営巣のために大切な土質選定ミスが無くなり、営巣機能が向上します。
「とりす工法」はコンクリート擁壁等の垂直擁壁の背面部に設置することで、容易にカワセミなどの巣穴を作る環境を構築することができます。

テールアルメ擁壁の背面に設置した例

「とりす工法」は写真のような垂直擁壁等の背面に設置することで、効果を発揮します。自然の厳しい切り立った崖の環境で巣作りをする鳥類に、人工の垂直擁壁の中に営巣場所を提供することで、自然との共生が図れます。
とりす工法は補強土擁壁(テールアルメ等)、L型擁壁大型ブロックなど多くの擁壁に採用できます。
土柱ブロックは鉄製のコルゲートパイプで構成されており、土圧や重機の転圧に耐える構造で、擁壁の構造に影響を与えません。

とりす工法の設置高さは、ヘビなどの天敵から身を守るため、2m程度は確保します。また、上から巣穴迄の距離も1m程度確保します。

土の締め固め状況

土の練り混ぜ後の状態

補強土擁壁(テールアルメ等)

 

 

 

 

 

 

 

 

とりす工法の設置高さは、ヘビなどの天敵から身を守るため、2m程度は確保します。また、上から巣穴迄の距離も1m程度確保します。

【さまざまな擁壁への適用例】

 

適用例(1)組み立て式逆T擁壁・ゴールコン・T型ブロック等

適用例(2)・ワイドウォール工法

適用例(3)テールアルメ・多数アンカー等

 

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